アイワの社風

アイワかたりべ


私が入社したのは1983年。

前年に世界初のオートリバース・ヘッドホンステレオとなるHS-P2を発売して空前の大ヒットを飛ばしており、カセット一色のムードの中入社しました。

1966年のカセットレコーダー発売からラジカセ、カセットデッキと幅を広げながら業界をリードしてきているので、当然のことかも知れません。

昔はマイクのリーディングカンパニーだったんだよ、なんていう過去の話は聞いたことがありませんでした。
過去を振り返らないから同じ型番の製品を出しちゃうんだよなぁ。(※記事にしています。)

まぁしかし、だからこそカセットレコーダーのリーディングカンパニーに成れたわけです。

私自身、私史上初となるアイワ製品、カセットデッキAD-F40を買ったことで、精巧かつ使い勝手が考えられた製品づくりにいたく感動し、就活の際はアイワしか考えていませんでした。
落ちたらどうするつもりだったんだろうか。
(ホントはソニーも考えたけど無理だろうな、と思って)

まぁそんな楽観的な性格はわりとアイワの社風にマッチしていたと思います。

アイワも儲かっているときはイケイケドンドン、多少売れなくなってもなんとかなるさ、いよいよ売れないと希望退職募集、というパターンを繰り返していたように思います。

私が退職することになったのは2001年ですが、2000年の夏冬の賞与まではわりと普通に出ていました。
もちろん営業利益などの状況は芳しくなかったわけですが、「社員のみなさまの頑張りに期待するという意味も踏まえ支給することとしました」というアナウンスがあったのを覚えています。

楽観的な社風ですよね。

もっとも、急激な円高で一気に傾いたわけですので、もっともっと、かなり前から石橋を叩くようでなければ乗り切れなかったでしょう。
そうなると社風ももっとお堅いものになっていたでしょうから、世界初・日本初を連発していくベンチャーチックでチャレンジングな製品づくりはできなかったかも知れません。

それじゃあ、楽しくないよね。

日本の景気が低迷していく中で、別になくても死にはしないオーディオというジャンルは苦戦を強いられました。
でもアイワは海外の生産拠点への設備投資に多額の費用を使っていた。タイミングが悪かった。

パン焼き器や空気清浄機などの生活家電にも進出しはじめていましたが、やはり、なくても死なない系だったな、と。
やるなら電子レンジや炊飯器のシェアを奪いにいくような気概が必要だったな、と思いました。
このままだと潰れちゃう~、という必死さが足りなかった。
必死で奪いに行けば敵陣の一部でも奪い取れる技術力があのときならあったと思います。

あーでも、そういう舵取りができる経営陣ではなかった、か。

令和のいまだと、アイリスオーヤマにそういう空気を感じます。
掃除機買ったらすぐ壊れちゃったけど。
で、そのあと壊れないマキタに変えたりして。

なんか、日立や東芝を買わなくなっている自分。気質でしょうかね。
いや、世間の風向きも多様化といいましょうか、変わってきている気がします。
とりあえず、アイリスオーヤマにはもうひと頑張りを期待します。アイワはそんな簡単には壊れなかったよ。

新生アイワにも、そういう空気感を大切にしてもらえたら、と思います。

ButterflyAudioはなかなかいい視点だな、と思います。
新機軸になるといいですね。期待しています。

一方で、DACとかヘッドホンのシェアを奪いにいくような気概を持った製品づくりをして欲しい。
何のためにアイワブランドを復活させたのかって話ですよ。

スマホやタブレットにももう少し尖っていただきたい。
過去のブランドイメージだけではさして持たないと思います。若い人は知らないか、そういえば親が使ってた、くらいの認識です。
もっと盛り上げていってほしいものです。

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